2019年のE3で発表された後、長きに渡って沈黙を続けてきた、バンダイナムコエンターテインメントの『テイルズ オブ アライズ』。本作の発売日が、ついに発表。2021年9月9日に、全世界同時でリリースされることが明らかになった(Steam版は同月10日に発売予定)。

 本作は25年の歴史を持つRPG『テイルズ オブ』シリーズの最新作。対応ハードは、これまでプレイステーション4、Xbox One、PC(Steam)とされていたが、この度の発表にて、プレイステーション5、Xbox Series X❘Sにも対応することが判明。

 本記事では、『テイルズ オブ アライズ』のプロデューサーを務める富澤祐介氏へのインタビューをお届け。現在の開発状況や、発売日までの展望、今回発表されたキャラクターやシステムなどについて、詳しく語っていただいた。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
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主人公のアルフェン
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ヒロインのシオン
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富澤祐介(とみざわ ゆうすけ)

『テイルズ オブ アライズ』プロデューサー。また『テイルズ オブ』シリーズ全体のIP総合プロデューサーも務めている。

新たに新世代機への対応が決定

――“E3 2019”にて“2020年発売予定”と発表された本作ですが、2020年6月に“発売日未定”とされ、長らく続報が待たれていました。今回、ついに発売日が2021年9月9日に決まりましたが、開発状況はいかがでしょうか。

富澤コロナ禍で開発を進めなければならず、先の見えない状況が続いていました。一度、発売日を未定とさせていただいたのは、つぎには確実な発売時期をお伝えしたいという思いから決めたことです。現在は順調に制作中でして、あとは最後の調整段階といった感じです。ここから開発が遅れるということはなく、自信を持って「9月9日に発売する」と断言します。

――2019年のタイトル発表当時は、新世代機への対応については言及されていませんでした。ある程度開発が進んだ段階で、新世代機への対応を考え始めたということでしょうか。

富澤開発を進める中で、新世代機のスペックが我々の耳に入るにつれて、ぜひ対応していくべきだろうと判断しました。本作はワールドワイド同時発売で展開する作品ですし、より多くの人に遊んでもらいたいということから、開発チームも限られた時間での追加対応に尽力してくれました。

――プレイステーション5のコントローラー“DualSense(デュアルセンス)”には独自の特徴として“ハプティックフィードバック”がありますが、それには対応しているのでしょうか?

富澤はい、対応しています。攻撃やアクションに応じて、異なる振動をプレイヤーに伝えられればと思います。たとえば魔法ひとつとっても、電撃と炎では感じかたも違うでしょうから。より細かくリアクションを感じてもらえるようにしています。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――PS4版、Xbox One版を購入した場合、新世代機版に後日アップグレードすることは可能でしょうか。

富澤どちらの場合も、無償でプレイステーション5版、Xbox Series X|S版にて遊ぶことができます。まだ新世代機を手に入れていない、という人は、まずはお持ちのハードのバージョンをご購入いただき、新世代機を手に入れた際に、対応するバージョンのソフトを改めて遊んでいただければと思います。

――新世代機では、4K解像度に対応し、60fpsでのプレイが実現されるとのことですが、『テイルズ オブ アライズ』では、それらによってプレイ体験がどのように変わりますか?

富澤本作のグラフィックは、あえて情緒的にボカした背景を描画するなど、独自の工夫をしています。それを4K解像度で見ると、その表現がより際立ちます。また、本作はアクション性を強めたものになっていますので、常時60fpsの滑らかな映像でバトルできることにより、純粋にアクションが快適になります。

 アクションは操作性をかなり追求していまして、ボタンのレスポンスですとか、そういった手触りをいままで以上に重視しました。ちなみに、パフォーマンス優先モード(60fps)、グラフィック優先モード(4K)の2種類で楽しめるようになっています。

――新世代機で遊べば、さらに高品質な体験ができるわけですね。

富澤やはり常時60fpsで遊べる機能がアクションバトルを楽しむにあたり大きな要素なので、そこはぜひオススメしたいですね。また、バトルだけでなく、本作はフィールド探索においても、アクション性が強いです。たとえばジャンプしたり、水を泳いだりですとか。自分の思うがままにフィールドを探索できるのが魅力ですので、60fpsでのプレイで、より没入感が高まります。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

絵画的なグラフィックを実現する“アトモスシェーダー”

――今回の発表にて、本作のグラフィックを実現するシェーダーを“アトモスシェーダー”と呼称していました。具体的には、どのようなシェーダーなのでしょうか。

富澤本作のグラフィックは、以前にお話しした通り、フォトリアルなものを目指しているわけではありません。リアルな部分もありますが、イラストらしい部分もある、水彩画の世界にプレイヤーが没入するかのようなアートスタイルを目指しました。

 また本作は、“継承と進化”をテーマに制作しています。これまで培ってきた『テイルズ オブ』シリーズの魅力や歴史を背負いつつ、いまの世代のユーザーに伝えるためにいかに進化するのか、というのが目標です。その大きなポイントのひとつが、やはりビジュアルです。

 『テイルズ オブ』シリーズは基本的には親しみやすく、いわゆるイラスト・アニメ寄りのデザインが受け入れられてきました。日本のプレイヤーには親しみやすいのですが、それをいまの時代を生きるより多くのお客様に受け入れてもらうにはどうしたらいいのか、というのが課題でした。

 やみくもにリアルにしてしまうと、『テイルズ オブ』シリーズとかけ離れたものになってしまいます。ですが、これまでのスタイルのままですと実存感が感じにくく、没入感が薄まるという側面もあります。そこをとにかく研究し続けて、今回のスタイルに決まりました。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――“アトモスシェーダー”という名前をつけた理由は?

富澤本作が目指すアートスタイル自体は以前から変わっていませんが、より多くの人にその特徴を知ってほしいと思い、名前を付けました。単純に“繊細で絵画的である”というものではなく、『テイルズ オブ』シリーズが持つ歴史や文脈を取り入れたグラフィックですから、説明するにあたり、新たな名前を付ける必要があると考えたのです。

――具体的には、このシェーダーを作るにあたり、どのような工夫をされたのでしょうか。

富澤たとえば、遠景対象物に対しては絵画的な解釈をして、あえてディテールやカラーを落として映し出しています。一方で、カメラに近い対象物は、詳細に描き出し、特にキャラクターに対しては繊細で質感を感じさせる表現を取り入れました。そしてそれらを包み込む空気感やライティングでよりドラマチックさを演出しました。それらの組み合わせにより、実存感のあるキャラがファンタジックな世界へと没入する感覚を自然に表現できるのです。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――フォトリアルなゲームが数多くある中、それらと差別化するために、『テイルズ オブ ヴェスペリア』のようなアニメ的なグラフィックをより追求する方向性もあったと思いますが、そうではない手法を選んだのですね。

富澤やはり、没入感の高い体験をしてもらいたかったからです。もちろんアニメ調の、いわゆるふつうのトゥーンシェーダーを使う路線もあったと思いますし、そちらもまだまだ研究の余地があると思います。ですが、トゥーンシェーダーはすでにある程度完成されているものですし、本作が“継承と進化”というテーマを掲げる中で、安易にトゥーンシェーダーを採用するのは違うだろう、という気持ちがありました。それを踏まえて、開発当初の段階から、絵画的なグラフィックにするということは決まっていました。

――キャラクターについては、頭身が高くなり、表情がより豊かになったように見えます。

富澤キャラクターの表情、いわゆるフェイシャルCGアニメーションですが、かなり強化しています。キャラクターモデルの顔がより細かく動かせるようになっていて、これまでと比べるとワンランク上のものになっています。たとえば、ピクサーさんの3Dアニメ映画などは、キャラクターの表情がかなり豊かですよね。本作では、ピクサーさんの映画ほどアニメ的に誇張した表現はありませんが、表情のバリエーションについては、同じくらい豊富だと思っていただければ。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
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――これだけグラフィックの表現が進化していると、ゲーム全編を3Dグラフィックで表現できるのではないかと思えますが、本作は従来の『テイルズ オブ』作品と同様に、アニメーションのシーンも入るんですよね?

富澤はい、アニメパートはufotableさんに制作していただいてます。全編を3Dで描くこともできはしますが、それではファンは喜ばないだろうと思ったんですね。3Dグラフィックが大きく進化した分、2Dアニメとの立ち位置は手探りでしたが、そもそも2Dアニメとして至高の領域にあるufotableさんのアニメでもありますので、それぞれの方向性で最善を突き詰める、という考えかたで制作を進めました。3Dと2D、どちらも楽しんでいただければと思います。

――ちなみに、アニメシーンは何分くらい収録されているのでしょうか?

富澤アニメシーンの尺は、じつはシリーズ史上、いちばん長いレベルのボリュームです。特に今回は3Dモデルとしての実存感を重視したキャラクターデザインのため、2Dアニメ作画向きではなかったので、ufotableさんにはすごく苦労をかけたと思います。ですが、その難しいデザインをほぼ落とし込んでいただけたので、ufotableさんには感謝しかありません。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――シオンの服のレースとか、リンウェルの服の模様とか、とても細かいですよね……。では、キャラクターについてうかがいます。今回、リンウェルとロウ、そしてフルルという、ふたりと1匹のキャラクターが公開されました。彼らは物語において、どのような役割を果たすのでしょうか。

富澤ふたりはダナ人、つまりレナに支配されている状況に苦しめられている人たちです。今回公開した画面写真でも、因縁や憎しみなども感じられる表情をしているかと思います。詳しくは語れませんが、どちらもダナとレナの複雑な関係を浮き彫りにさせるような境遇を背負っています。

――アルフェン、シオンよりも、ふたりは若く見えますね。

富澤アルフェンとシオンはかなり大人びていますが、リンウェルとロウはふたりよりも年若い、いままでの『テイルズ オブ』シリーズの文脈に近いキャラクターかもしれませんね。そしてフルルは、今回のマスコット的キャラクターです。『テイルズ オブ アライズ』のシリアスな空気を感じて、「『テイルズ オブ』らしい部分が失われてしまったのでは?」と危惧している方も少なくないと思うのですが、シリアスな面だけではなく、和気あいあいとしている部分もちゃんとあります。背負っているものが大きくとも、それぞれの個性が冒険の中で出てくるのが、『テイルズ オブ』の魅力だと思っていますから。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
リンウェル(声:原紗友里)
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フルル
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ロウ(声:松岡禎丞)
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――いまのところ、パーティメンバーではシオンだけがレナ人で、ほかはダナ人ですね。もちろん、仲間キャラクターはまだいるんですよね?

富澤はい、もちろんまだまだ仲間キャラクターは存在します。また、レナ人の仲間もいます。パーティキャラクターたちのやり取りの中で、本作のテーマであるふたつの種族分断や軋轢がどのように語り合われ、彼らなりの答えを見つけるのかが見どころとも言えます。そこは続報をお待ちください。

――ところで今回、おそらく敵側であろう新キャラクター、ビエゾも発表されました。

富澤ビエゾは見た目通りの屈強かつ高圧的な大男で、レナとダナの関係性をわかりやすく表しているキャラクターです。非常に横暴な性格で、ダナ人を人とも思わない。一方でレナ人の部下にも厳しくあたります。彼は領将(スルド)と呼ばれる統治者で、ダナ人を奴隷として働かせ、火の精霊力を集めているのですが、ほかの領将(スルド)たちよりもよい成果を上げようと焦っている側面もあるようです。その巨大な斧による一振りは、直で食らうと一撃で致命傷になりかねません。そんな彼に対して、どうアルフェンたちが対峙するのかは、今後ご紹介していきます。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
ビエゾ(声:立木文彦)

バトルについて

――今回、ブーストアタックとブーストストライクというシステムが公開されましたが、発動条件などを教えてください。

富澤今回のバトルは、仲間との連携が重要になっています。ブーストアタックは、バトル中に特定の条件を満たすと何度でもくり出せるサポートアクションです。キャラクターごとにロールがあり、それに即した効果が得られます。バトルでは、ひとりのキャラクターを操作しつつ、ここぞというときに仲間のサポート攻撃をくり出してコンボをつなげていく、というイメージですね。

 ブーストストライクは、いわゆるフィニッシュ技です。敵の体力を減らして瀕死にさせた後、気持ちよくフィニッシュ攻撃をくり出せるというものです。ブーストストライクは、ふたり1組のキャラクターごとの組み合わせに応じて、演出も変わります。秘奥義のような派手な技でフィニッシュができるというわけです。もちろん秘奥義は、これとはまた別にありますが。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――仲間の組み合わせの数だけ、ブーストストライクの演出も違うものが楽しめると?

富澤そうです。ブーストストライクが発動するパーティメンバーの組み合わせに縛りはないので、自分のスタイルに合わせたバトル、そして多彩な演出を楽しんでください。

――先ほど、秘奥義はまた別にあるとおっしゃっていましたが、従来の術や技などもあるのでしょうか。

富澤はい、秘奥義や術・技など、シリーズのバトルのベースになっている要素はあります。ただ、秘奥義は作品によって発動方法が違いますよね。本作でも、またくり出す方法は違います。

 また今回の大きな特徴としては、回避をアクションの主体にしていることが挙げられます。敵を連続して攻撃しつつ、敵の攻撃がきたら避けて、さらに継続して戦う……という感じですね。守ってゲージを溜めるというよりは、敵の攻撃を見切ってそのまま反撃につなげる、スピーディーなバトルです。アクションゲーム好きな方には、その手触りのよさを楽しんでもらえるはずです。

 ただ、これまでよりもスピード感が上がっているぶん、難しいと感じる人がいるかもしれません。これまで『テイルズ オブ』を楽しんでくださった方がプレイできないようにはしたくないので、直感的で誰でも気持ちよくなれるようなゲームデザインを心がけていますし、さらに難易度調整や、オート機能も実装しています。アクションが苦手な方でも楽しめる、ド派手で楽しいバトルを目指しています。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー
『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

――これまでの『テイルズ オブ』シリーズのバトル以上に、“回避”の爽快感が楽しめるんですね。

富澤敵の攻撃はそれぞれ見切れるようになっていて、ほとんどが回避可能で、全編を通したバトルのいたるところで「回避して反撃する」という楽しみの爽快感を誰でも味わえます。予兆が小さい、短いなど、避けにくい攻撃もあるので、「ぜったいに避けられます」と断言はできませんが。

――これまでの作品ですと、避けるというよりは、耐えてゲージを溜めてから大技を出すということが多かったように思います。

富澤ゲージの類のシステムはあります。ただ、おっしゃる通り、これまではゲージを活用するために、少し“待ち”が必要でしたよね。本作では積極的に攻撃することでゲージが溜まるような仕組みで、最終的には、理想のコンボを構築すれば、意識せずとも自然とゲージが溜まって、攻撃を続けられるようなシステムになっています。

――ところで、シリーズではおなじみだった、勝利後の掛け合いなどはどうなっているのでしょうか?

富澤今回は、いわゆる勝利画面がなく、フィールドで敵とエンカウントしたらバトルが発生し、勝利したらフィールドにすぐ戻りますが、フィールド上のボイスで、バトル後の会話を楽しめます。

 本作は、いまの時代のRPGゲームとしてふさわしい水準にいたるため、ゲーム体験のスムーズさを最大限注意して開発しています。その意味で、バトルとフィールド探索の楽しさの両立を図っているため、バトルが終わればスムーズにフィールド探索に戻るようにしたく、テンポが悪くなる要素は『テイルズ オブ』らしさを意識しながらアレンジしています。バトル終了後の会話としては、予想以上に多彩な会話をしてくれるので、驚いてもらえると思いますよ。勝利後のセリフのバリエーションは、過去作よりも大幅に増えてしていますから。また、詳細はまだ言えませんが、“スキット”はこれとは別に存在しています。

――今回公開された映像からも、バトルと探索時のテンポのよさが伝わってきます。探索要素は、過去作からさらに変わっている?

富澤フィールドでも、アクションゲームに近い手ざわりで探索が楽しめるようになっています。自在なジャンプや泳ぎなどの基本アクションを駆使して、より立体的になったフィールドやダンジョンに挑んでください。

『テイルズ オブ アライズ』は“心の黎明を告げるRPG”。新たな世界を描く“アトモスシェーダー”などについて、富澤祐介プロデューサーにインタビュー

心の黎明を告げるRPG

――発売まであと4ヵ月と少しとなりますが、体験版配信や体験会の予定はありますか?

富澤コロナ禍ということもあり、方法については検討中ですが、皆さんに体験していただける機会を設けたいと思っています。

――楽しみにしています。そのほか、新たなキャラクターやシステムの情報も期待されますが、今回の発表をきっかけに、どんどん情報公開されていくのでしょうか?

富澤ええ。9月9日の発売って、もうすぐですから。ここでまた休んだら皆さんに怒られてしまいますので(笑)、どんどん新情報を公開していきますよ!

――最後の質問です。『テイルズ オブ』作品といえば、これまで“生まれた意味を知るRPG”、“君が君らしく生きるためのRPG”といった特徴的なジャンル名がつけられてきましたが、『テイルズ オブ アライズ』のジャンル名は?

富澤『テイルズ オブ アライズ』は、“心の黎明(れいめい)を告げるRPG”と名付けました。“アライズ”という言葉には“立ち上がる”、“夜明け”という意味を込めていますが、それと呼応するように、“心の黎明”という言葉を打ち出しました。ひょっとしたらいままでのものよりも、抽象的なイメ―ジのキャッチコピーに聞こえるかもしれませんが、単に作品内で起こることにとどまらず、プレイヤーすべての心の中に告げられる黎明とはどんなものなのか。困難な時代だからこそのテーマとして、最後まで遊んで、感じていただきたいですね。

富澤祐介Pと岩本稔ADへのインタビュー動画も公開

 本インタビューとは別に富澤祐介氏と、アートディレクターの岩本稔氏へのインタビューを収録した動画も公開。本作で目指したもの、コンセプトなどが語られている。

『テイルズ オブ アライズ』日本語インタビュー。プロデューサー富澤祐介氏、アートディレクター岩本稔氏が語る【Tales of ARISE】